欲しいもの

私は人に頼るのがすごく、下手だ。

何かあったら頼ってねと言ってくれる人はいる。宛はいくつかある。頼りたいとも思う。それなのに、頼るのは良くないことだと思う自分がいる。

 

その癖、私に頼る友達は多い。少しくらい自分で対処できないのかと思う反面、そんなに素直に人に頼れる人を羨ましく思う。きっと上手に生きていける人はそういう人なんだろう。

 

私は人に頼られていることの方が多いから、頼られなければ人とのつながりや自分の存在意義が見い出せないような感覚になる。でもそんなことは無いし、もっと頼っていいんだろうけどもうずっと昔から頼るのが苦手だ。

 

甘えるのも苦手だった。それでも恋人には甘えたりしたし素直な気持ちはちゃんと言った。なにが負担だったのかははっきりとわからないけどきっと部活の全部の事象が彼にとっては負担だったのだろう。もう、ずっと昔のことのように思う。それでも私はあの人に拒絶された。

 

表は明るく誰とでも付き合える。友達としては最高の友人だっただろう。だけどそれが恋人としてうまくいくかはまた別の話だ。裏の顔はとんでもなかった。精神的に弱く、自分の思い通りにならない小さなことをぜんぶ事細かに指摘する。拒絶されてショックではあったけど早くにそんな面が見えてよかった。早く見切りをつけられたと思った。

 

でもそれから、恋は恐ろしくてできない。進もうと思えないのだ。友達は私に臆病だと言うけれど、表と裏のあまりのギャップに本当に絶望したなんて私しかわからない。

 

そんなのその人だけで世の中にはもっといろんな人がいるんだから、と言う人もあるだろう。確かにそれは正論だ。でも私にはそれが錆びのようになってずっと張り付いている。

 

度々、強くて安心する腕に、あったかい体温に、抱き締められたいと訳もなく心細くなったりする。だけどそれに絶望するのはもう嫌なんだ。私は私を支えてくれる人を支えようとは思う。ちゃんとお返しはする。好きなら無条件にたくさん与えるだろう。でもそれと同時に私への変わらない愛がほしい。私だけへの。それはもしかしてとんでもないエゴなんだろうか。

 

最近はよく「間違ったら叱ってくれて自分のことは自分で死ぬほど頑張れ、だめだったら俺が助けてやる」と言っていつも私を支えてくれた人のことを思い出す。本当に好きだった。その人に変わらない愛はなかったけど、それでもよかった。なんどもなんども嫌いになってなんどもなんども好きになるくらいにはバカだった。好きだった。あれが恋だと思う。

 

また、そんな恋に巡り会えたらいいな。当分無いだろうし同じ人は二度と現れないのだけれど。